Photo by Richard Steih
この記事では、Canonの広角単焦点レンズEF35mm F2 IS USMの情報をまとめています。手ぶれ補正を備えて最近リニューアルされたレンズであり、最近のキヤノンの並単レンズリニューアルのさきがけとなった一本でもあります。
EF35mm F2 IS USMはこんなレンズ!
このレンズは、焦点距離35mm、開放F値F2で、手ぶれ補正を備えた広角大口径単焦点レンズです。
スナップ写真感覚で狙った被写体を高画質に切り取ることができる広角単焦点レンズです。
使い勝手のいい焦点距離が撮影者の撮影フィールドを広げます。手ブレ補正機構を搭載したことにより、特に夜間撮影などのスローシャッターによる撮影表現領域を拡大。手ブレ補正効果はシャッタースピード換算で約4段分の補正効果を実現しています。
スペックは下の表のようになります。
焦点距離 | 35mm | F値 | F2 – F22 |
---|---|---|---|
レンズ構成 | 8群 10枚 | 絞り羽根枚数 | 8枚 |
フォーカス | AF/MF | 手ぶれ補正機構 | あり(4段分) |
最短撮影距離 | 24cm | 最大撮影倍率 | 0.24倍 |
最大径x長さ | 77.9×62.6 mm | 重量 | 335 g |
フィルター | 67 mm | 発売日 | 2012年12月 |
こんな写真が撮れる!
Photo by Richard Steih
Photo by Richard Steih
手ぶれ補正が付いているので、スナップ的に気軽に撮るのにいいですね。描写もあっさり目ではありますが素直で好感が持てます。
Photo by projectphoto.ch
フルサイズで室内撮りすればこのようなシーンにも対応できますね。上の2枚のように寄って撮ってもよし。このように引いて撮れば広角に。またこのような薄暗いシーンでは手ぶれ補正が心強く思えます。
海外レビューサイトの評価は…?
PHOTOZONE
Canon EF 35mm f/2 USM IS – Review / Test Report – Analysis
- 歪曲は非常に軽微な樽型で、0.95%と1%を切っている。
- 開放付近では大きな周辺光量落ちが見られ、絞り開放のF2では2.3EVに及ぶ。しかしながらF2.8まで絞ればかなり改善し、F4以降ではほとんど問題にならない。
- 単焦点レンズだけあって解像力は高い。中央の画質は開放のF2でも「非常に良い(very good)」が、F2.8まで絞ると「素晴らしい (excellent)」レベルにまで上昇し、F4からF5.6の間は「際立って (outstanding)」いる。開放時の周辺画質は「良い (good)」から「非常に良い (very good)」の間であるが、比較的コントラストが低い時には影響を受ける。コントラストが高い被写体の場合は絞り込むことを勧める。F4からF5.6では「非常に良い (very good)」から「素晴らしい (excellent)」に達する。F11以降は回折の影響が見られるが依然として「良い (good)」から「非常に良い (very good) 」のレベルである。
- 像面湾曲の影響はかなり小さい。
- 倍率色収差は周辺でも平均0.3ピクセル程度で、無視できるレベルである。
- ボケは比較的良い。背景の点光源はかなり綺麗にボケるがわずかに縁取りが見られる。四隅ではボケの形が崩れ縁取りも際立つようになる。
- 前景ボケはややうるさくなりがちだが背景ボケは滑らかで、ほとんどのズームレンズより美しい。広角の非球面レンズでこのようなボケが得られるのは珍しいことである。
- コントラスト差が大きい時は前景で紫の、背景で緑がかった軸上色収差(ボケの色ずれ)が見られる。F2からF2.8までは色ずれが見られるがF4以降では解消する。
- 絞った時のフォーカスシフトは見られない。
LensTip.com
Canon EF 35 mm f/2 IS USM review – Summary – Lenstip.com
良い点
- コンパクトで堅牢な鏡筒
- 中央の素晴らしい画質
- APS-Cセンサーであれば周辺の画質も良い
- 色収差が良く抑えられている
- 歪曲が穏やかである
- APS-Cセンサーであればコマ収差も小さい
- 非点収差も無視できる
- 逆光耐性は非常に高い
- AFは素早くて正確
- 手ぶれ補正の効きが良い
悪い点
- フルサイズセンサーでは絞り開放付近の周辺画質が良くない
- フルサイズセンサーでは周辺光量落ちが大きい
- フルサイズセンサーでは四隅のコマ収差が目立つ
- 付属アクセサリが豊富でない
ePHOTOzine
Canon EF 35mm f/2 IS USM Lens Review
良い点
- 質感が良い
- 手ぶれ補正が付いている
- 素晴らしいシャープネス
- 最短撮影距離が短い(24cm)
- 軽量
悪い点
- 旧型と比較して値上げされた
- フードが付属していない
- F2とF22では色収差が少し大きい
このレンズに関するレビューまとめ
PHOTO YODOBASHI
[PY] フォトヨドバシ Canon EF35mm F2 IS USM インプレッション | photo.yodobashi.com |
最近のキヤノンレンズでは当然となった、手ブレ補正機構「IS」とフルタイムマニュアルフォーカスを可能にする「USM」の搭載は前モデルのユーザーにとっても非常に嬉しい進化でしょう。また、今回のリニューアルでは、外観の質感向上に加え、レンズ構成も8群10枚へと変更され、全ての要素においてレンズの基本性能がブラッシュアップされました。
デジカメWatch
絞り開放から解像力がとても優れているので、ピントの合っている箇所がくっきりと描写され、アウトフォーカスによりボケている箇所との差が明確で。立体感の強い印象的なクローズアップ撮影が可能だ。
絞り込むことでF5.6辺りから画像周辺の解像力も上がってくる。F8となると画面全体の解像力が均質に上がり、風景撮影の樹々等の細かい描写表現が可能となる。歪曲も少なく自然な描写が好印象だ。
その他ブログなど
- おもひでぽろぽろ | 単焦点「EF35mm F2 IS USM」着弾 ♪(動画レビュー)
- ファインダーワールド | EF35mm F2 IS USM購入後、このレンズが私の6D標準装着レンズとなりました
- レレレの星おじさん | EF35mm f/2 IS USMの星像テスト
- transparent | EF35mm F2 IS USM + EOS-1D X で動画を撮ったよ!
- Favorite Headline | EF35mm F2 IS USM その1
- Buffaloの日記 | EEF35mm F2 IS USM レヴュー。
- 機材貧乏マンセー | EF35mm F2 IS USM
- 高悟帰ゾクゾクっ!Sun | Canon EF35mm F2 IS USM
- Think Different | EF35mm F2 IS USMレビュー
- ま、適当に | EF35mmF2 IS USM
- SKRRの七転び八起き | EF35mm F2 IS USM 購入
- デーライトなスナップ | 新35mmf2
このレンズとよく比較されるレンズ
このレンズと比較検討されるレンズといえば、同じ35mm単焦点のキヤノン純正Lレンズ (EF35mm F1.4L USM) およびSIGMA 35mm F1.4 DG HSMでしょう。前者はやや設計が古いですがそこはLレンズ。素晴らしい写りを見せてくれますが価格は3倍近くします。一方のSIGMA 35mm F1.4 DG HSMは画質の高さで高い評価を受けているSIGMA Artシリーズの1本で、本レンズとは価格帯も近いのでどちらを入手するべきか悩む方も多いのではないでしょうか。違いは開放F値と手ぶれ補正、そしてサイズです。本レンズのほうが小さく軽量で、開放F値が1段大きい代わりに手ぶれ補正が付いています。対するSigma 35mm F1.4 DG HSMは手ぶれ補正がない代わりに1段明るく、また大きく重い代わりに高いシャープネスとコントラストを誇ります。手ぶれ補正の効きを活かして気軽にパシャパシャ撮りたい方は本レンズを、画質の高さを活かして本気の作品撮りをしたい方はSigma 35mm F1.4 DG HSMを、と言った使い分けになるのではないでしょうか。
まとめ
光学性能 | ★★★ |
---|---|
造り | ★★★ |
AF | ★★★ |
取り回し | ★★★★ |
価格 | ★★★★ |
総合評価 | ★★★ |
いわゆる”並単”(非Lレンズの単焦点レンズ)ではありますが、純正だけあって光学性能は高いですね。開放ではやや甘さが見られますが少し絞れば中央の画質は非常に高くなるし、周辺画質も悪くないです。倍率色収差や歪曲は殆ど無いと言っても良いレベルで、周辺減光は開放でも気になりません。旧型ではボケの汚さが問題となっていましたが、その点はこの新型では見事に修正されています。
鏡筒はプラスチック製でややチープさが見られますが、重量とのトレードオフを考えると全く問題になりません。また鏡筒の短さを62.6mmとSigma 35mm F1.4 DG HSMの2/3程度に抑えてきたことも着目すべき点で、非常に携帯性に優れるレンズと言えるでしょう。また純正だけあってUSM(超音波モータ)によるAFは非常に速くて静かです。35mmという広角のレンズに手ぶれ補正が必要かという議論はありますが、手ぶれ補正は4段分と強力であり、画質を犠牲にすることなく組み込めるならばあってもいいのではないでしょうか。そしてそれがうまく行っていることは、上のテストや作例が示しています。