Photo by Gwenael Piaser
この記事では、Canonの広角単焦点LレンズEF35mm F1.4L USMの情報をまとめています。
EF35mm F1.4L USMはこんなレンズ!
このレンズは、焦点距離35mm、開放F値F1.4の広角大口径単焦点レンズです。
ズームレンズではブレやすい、光量の少ないシーンでの手持ち撮影や、美しく大きなボケ味を活かした作画が可能。そのうえ、ファインダーが明るく見やすいなど、大口径F1.4ならではの魅力を堪能できる広角Lレンズです。研削非球面レンズを採用することで各種収差を徹底的に除去しており、単焦点レンズの特長であるシャープでヌケの良い高画質を存分に楽しむことができます。
スペックは下の表のようになります。
焦点距離 | 35mm | F値 | F1.4 – F22 |
---|---|---|---|
レンズ構成 | 9群 11枚 | 絞り羽根枚数 | 8枚 |
フォーカス | AF/MF | 手ぶれ補正機構 | なし |
最短撮影距離 | 30cm | 最大撮影倍率 | 0.18倍 |
最大径x長さ | 79×86 mm | 重量 | 580 g |
フィルター | 72 mm | 発売日 | 2002年8月 |
こんな写真が撮れる!
Photo by Dylan’s World
さすが純正Lレンズ。このような金属の質感をリアルに描き出す描写力は流石の一言です。ボケもうるさくなくきれいですね。
Photo by Gwenael Piaser
細かい部分も周辺までよく描写されています。
Photo by Gwenael Piaser
ボケ味を見るのに良さそうな作例をご紹介。自然で、被写体が浮き上がるような立体感が得られています。
Photo by Gwenael Piaser
絞ってパンフォーカス気味に撮ればこの通り。この解像感はさすがLレンズです。
海外レビューサイトの評価は…?
PHOTOZONE
Canon EF 35mm f/1.4 USM L – Full Format Lab Test Report / Review – Analysis
- 歪曲は穏やかな樽型で~1.5%程度である。これはこの焦点距離の単焦点レンズとしては標準的である。
- 絞り開放付近での周辺減光は大口径レンズをフルサイズ機で使う場合の弱点の一つであるが、このレンズも例外ではない。F1.4では四隅の減光は2.4EVにおよぶ。これは(EF24mm F1.4L USMなどと比べて)非常に大きいという程ではないが、やはり気になるレベルである。周辺減光はF2でも大きく、これを解消したければF2.8まで絞る必要がある。
- 解像度は開放から素晴らしい (excellent) レベルであるが、周辺や特に四隅ではやや甘い。F2まで絞れば全体的に改善するが可能ならF2.8まで絞るほうがさらによい。F2.8であれば中央は際立って良く (outstanding) なり、周辺は非常によく (very good)、四隅も良い (good) レベルである。解像度はF5.6で最高となり、中央は素晴らしく (excellent)、周辺と四隅も非常に良い (very good)。F11までは非常に良い解像度を保っているが、それ以降は回折の影響を受け始める。
- 倍率色収差は周辺で1ピクセル程度であり、このような大口径の広角レンズとしてはかなり良く抑えられている。
- 大口径レンズだけあってボケはもちろん大きいのだが、F1.4では背景は概ね滑らかであるのに対し前ボケがややうるさい。また被写界深度外の点光源のボケも周辺では少しうるさくなる。F2からF2.8程度まで絞ればボケ味は改善するが、当然のことながらボケ量は減少する。このような特徴は非球面レンズを使用した広角レンズではよく見られることである。イメージサークルの中央だけを利用するAPS-C機であれば、このような周辺の問題は気にならない。
- 大口径レンズで問題になる、軸上色収差によるボケの色ずれは、このレンズでも例外ではない。被写界深度外の紫から緑の色ずれは開放のF1.4では非常に大きい。F2まで絞れば多少改善するものの、F2.8までは観測可能である。
LensTip.com
Canon EF 35 mm f/1.4L USM review – Summary – Lenstip.com
良い点
- 鏡筒の造りが良い
- 中央の画質はどの絞り値でも素晴らしい
- 周辺の画質も非常に良い
- フルサイズでも色収差は小さい
- 歪曲が小さい
- 非点収差もよく抑えられている
- AFは速く静かで正確
- 逆光耐性が高い
悪い点
- 周辺減光はAPS-Cでも目立つレベルで、フルサイズでは非常に大きい
- コマ収差が大きい
- フルサイズ機における開放での四隅の画質はもっと良くあるべきである
- 価格が高い
ePHOTOzine
Canon EF 35mm f/1.4L USM Interchangeable Lens Review
良い点
- 中央の画質は開放から素晴らしい
- 絞った時の画質は全体にわたって非常に良い
- 造りが良い
- 防塵防滴
- 逆光耐性が高い
悪い点
- 開放における周辺の画質が甘い
このレンズに関するレビューまとめ
PHOTO YODOBASHI
[PY] フォトヨドバシ CANON EF35mm F1.4L USM インプレッション | photo.yodobashi.com |
開放から大変シャープで、美しいボケ味、そして何よりヌケのよさが素晴らしく、「L」の称号に相応しいレンズです。50mmより周辺を盛り込むことの出来る35mmには、標準50mmとはまた違った面白さと難しさが共存しています。
その他ブログなど
- ryuseiz eX4.0 | [ 初秋の候 with hisoka /ver 2.0 ] EF 35mm f/1.4L USMと言うレンズ
- ちぇり小屋 | EF35mm/F1.4L USM(実写と感想)
- デーライトなスナップ | タグ:EF35mm F1.4L USM
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- ~WannAbies~ | タグ:EF35mm F1.4L USM
- RGB自由空間 | タグ:EF35mm F1.4L USM
- mundus intellegibilis | Category : EF35mm F1.4L USM
このレンズとよく比較されるレンズ
このレンズとよく比較されるレンズといえば、同じ35mm単焦点レンズであるEF35mm F2 IS USMとSigma F1.4 DG HSM でしょう。
本レンズはこれらの2倍以上高価ではありますが、Lレンズだけあって最高の描写力を誇ります。しかし、2002年発売とやや設計が古いことは否めず、中央の解像度は抜群ながら周辺に甘さが残ることが指摘されています。コストパフォーマンスで言えばSigma 35mm F1.4 DG HSMのほうが高いといえるでしょう。また軽量コンパクトながら手ぶれ補正機構を備えたEF35mm F2 IS USMのほうが便利なシーンも有るかもしれません。
とはいってもそこはLレンズ。そういった細かい比較を吹き飛ばすような魅力がこのレンズにはあります。Lレンズならではのしっとりとして色乗りの良い描写はSigmaにはありませんし、F1.4ならではのボケ味と合焦部の解像感は並単レンズでは得られない次元の写りです。誰もが憧れるLレンズ。手が届くなら買わない理由はないでしょう。リセールバリューも高いので近い将来リニューアルがあっても出費は比較的少なくて済むでしょうし、このレンズでしか撮れない写真はきっと多いはずです。
まとめ
光学性能 | ★★★★ |
---|---|
造り | ★★★★ |
AF | ★★★★ |
取り回し | ★★★ |
価格 | ★★ |
総合評価 | ★★★★ |
上述したように、周辺と四隅の描写に甘さが見られます。また開放でのボケ味も(特に周辺では)少しうるさいという問題点が多くのレビューで指摘されています。しかしながら、中央の解像力はこれらの欠点を補って余りあるものであり、F2.8では最高レベルに達し、F5.6では画面全体にわたって素晴らしいものとなります。
純正Lレンズだけ合って造りは非常に素晴らしく、防塵防滴機構を備えています。AFも問題なし。唯一の懸念はそのお値段です。他のレンズに10万円を加えてこのレンズを購入する価値が有るか?私は、手が届くならその価値は十分にあると思います。癖のあるレンズかもしれませんが味のあるレンズとも言えます。下にさらなる作例へのリンクを張っておきますので、ぜひ愉しいご検討を続けてみてください。