Photo by [.O]
この記事では、SigmaのArtラインの広角単焦点レンズ35mm F1.4 DG HSMの情報をまとめています。Sigma社が発表した、画質をひたすらに追求したArtラインシリーズ。その第一弾として満を持して市場に投入されたレンズの詳細を見て行きましょう。抜群の解像度と美しいボケ味が特長です。
35mm F1.4 DG HSMはこんなレンズ!
このレンズは、焦点距離35mm、開放F値1.4の広角大口径単焦点レンズです。
すべてにおいてワンランク上のクオリティを実現。「最高」の基準を刷新するシグマの自信作。
色収差を極限まで補正し、圧倒的な描写性能を実現
美しいボケ描写が可能
スペックは下の表のようになります。
焦点距離 | 35mm | F値 | F1.4 – F16 |
---|---|---|---|
レンズ構成 | 11群 13枚 | 絞り羽根枚数 | 9枚 |
フォーカス | AF/MF | 手ぶれ補正機構 | なし |
最短撮影距離 | 30cm | 最大撮影倍率 | 0.192倍 |
最大径x長さ | 77×94 mm | 重量 | 665 g |
フィルター | 67 mm | 発売日 | 2012年11月 |
こんな写真が撮れる!
Photo by Starlit Beaches
準広角とも言うべき画角を活かして風景撮りに使えます。写りは非常にシャープで、各収差がよく抑えられています。
Photo by Gustave Deghilage
また35mmという画角は標準レンズとしてスナップ的にも使えます。モノクロにしても繊細でいい画が撮れますね。
Photo by [.O]
もちろん色彩が豊かなこのようなシーンにも強いです。色収差は非常によく抑えられていますし、金属部分の質感やガラスへの映り込みも綺麗に表現されていますよね。
海外レビューサイトの評価は…?
DPREVIEW
Sigma 35mm F1.4 DG HSM review: Digital Photography Review
良い点
- 同じクラスの全てのレンズを打ち負かすほどの素晴らしい光学性能
- 素晴らしい逆光耐性
- 速く、静かで、正確なAF
- 素晴らしい造り
- 非常に高いコストパフォーマンス
悪い点
- ある条件下では背景ボケが少しうるさい
- 防塵防滴でない
PHOTOZONE
Sigma AF 35mm f/1.4 HSM DG | A (“Art”) – Review / Test Report – Analysis
- 歪曲は0.9%と1%を切っており、このクラスの広角レンズとしてはかなり小さい。
- 大口径レンズだけあって周辺減光は大きい。開放では周辺で2.65EVもの減光が見られる。F2.8まで絞れば目立たなくなり、F4以降では全く気にならない。
- 中央の解像力は開放でも群を抜いて素晴らしい。2000万画素のセンサーでもレンズの解像力の方が上回るだろう。解像力はF4で最高となり、この時の解像力は他に類を見ないほどである。F11以降では小絞りボケが見られるがF4からF11までは素晴らしいの一言に尽きる。また、絞った時のフォーカスシフトが全く見られないことも特筆すべきである。
- 倍率色収差は非常によく抑えられている
- ボケは非常に滑らかであるが完璧とは言えない。9枚の絞り羽根の効果で、背景の点光源は四隅をの除けば広い範囲の絞り値で円形を保っている。ボケに縁取りは見られないが、渦巻状の2線ボケが見られる。
- 軸上色収差は大口径レンズの宿命である。このレンズもピント面より手前ではマジェンダの、奥では緑のハロが見られる。
- 大口径レンズの宿命として、開放ではボケにフリンジが見られるが、これはF2.8まで絞れば解消する。
このレンズに関するレビューまとめ
PHOTO YODOBASHI
[PY] フォトヨドバシ SIGMA 35mm F1.4 DG HSM SHOOTING REPORT | photo.yodobashi.com |
“Art”ラインと名乗るだけある、凄みを感じる1本
絞り開放からともかくシャープ。抜けるようなクリアさと、大口径開放独特の艶っぽい描写が相まって、開放の写りはまさに「美しい」の一言。絞り込めば、更にシャープさは増し、文句のつけようのない描写に到達。
Bic Photo Style
SIGMA 35mmF1.4DG HSM(キヤノン) – Bic Photo Style
正直、このレンズ、惚れました。スナップ、風景、人物、すべてのジャンルで最高の1枚を写しだしてくれます。35mmという画角も、撮り手のさじ加減ひとつで、様々な見せ方が出来ます。
マップカメラ | KASYAPA
マップカメラ | KASYAPA | 098:新ラインを担うハイエンドモデル 『SIGMA 35mm F1.4 DG HSM』 | SIGMA
画面が透き通っているかの様なピントの素直さと繊細さ、ボケ味の美しさ。現行の広角大口径としては間違いなくハイエンドに位置する1本で、逆光や暗い場所等の悪条件でも安定した描写をしてくれるのはさすがのものです。
ローレットの細かい細工やフードに至るまでの仕上げも美しく、モノとしてもしっかりとした存在感のあるレンズに仕上がっています。ボディバランスも良く、取り回しも良好。描写性能もハイスペックな完成度の高い仕上がりです。
デジカメプラス
交換レンズ百景:抜群のキレを見せる描写――シグマ「35mm F1.4 DG HSM」 – ITmedia デジカメプラス
シグマらしく開放から抜群のキレを見せる描写はとても素晴らしい。2つ3つ徐々に絞ってやると、画面中央のそのカリカリ具合は頂点に達する。開放では周辺光量の落ちが顕著だが、それがムーディーに感じるほどである。AFもスムーズかつ正確で、気持ちよくフォーカスポイントで合焦する。
デジカメWatch
SIGMA 35mm F1.4 DG HSM – デジカメWatch
撮影した画像を仔細に確認するとその解像力の高さに驚く。木々の枝や葉の一枚までもくっきりと分離して描写しており、木肌などの質感も非常にリアルだ。今回使用したのはキヤノン「EOS 5D Mark III」だが、純正レンズを含め、正直ここまで高い解像感を得るのは難しいのではないかと感じさせるほどの仕上がりだ。
日経トレンディネット
描写性能は想像以上、フルサイズ一眼に最適! シグマ「35mm F1.4 DG」 日経トレンディネット
絞りを開けたときのボケ味はふわっととろけるよう。絵柄によってはわずかにガサつくこともあるが、大口径広角レンズとしてはきわめて高いレベルだ。さらに絞れば、緻密な描写でフルサイズセンサーの解像力を存分に引き出してくれる。
その他ブログなど
- 天体写真の世界 | シグマ 35mm F1.4 DG HSM レビュー
- アキバフォトグラフィ | SIGMA 35mm F1.4 DG HSM 購入
- エアロプレイン | 驚愕。SIGMA Artライン 35mm F1.4 DG HSMは伝説に成り得るレンズ!
- [Z]ZAPAブロ~グ2.0 | 【レビュー】SIGMA 35mm F1.4は、どんな条件にも耐えるスーパーレンズだった!
- ASPHERICAL WORLD | SIGMA 35mm F1.4 DG HSM A012は50mmキラーなレンズ。
- Weekend Camera | シグマ 35mm F1.4 DG HSM が来た
- b’s mono-log
- Memo | SIGMA 35mm F1.4 DG HSM買ってた
- 真夜中のパン焼き窯
このレンズとよく比較されるレンズ
このレンズと比較検討されるレンズといえば、キヤノン純正Lレンズ (EF35mm F1.4L USM) または並単 (EF35mm F2 IS USM) でしょう。前者はやや設計が古いですがそこはLレンズ。素晴らしい写りを見せてくれます。しかし、この35mm F1.4 DG HSMと比較して値段ほどの差があるかと言われると疑問です。一方、後者の並単レンズは2012年発売の比較的新しいレンズで、比較的低価格ながら現代的で素直な写りをすることで高い評価を得ています。本レンズとの主な違いは開放F値がF2と一段大きい代わりに手ぶれ補正機構を備えている点です。どちらを選ぶかは好みの問題と言えますが、絞り開放から素晴らしい写りをする本レンズでしか撮れないシーンはきっとあるはずです。
まとめ
光学性能 | ★★★★★ |
---|---|
造り | ★★★★ |
AF | ★★★ |
取り回し | ★★★★ |
価格 | ★★★★★ |
総合評価 | ★★★★ |
このレンズ、私も持っていますがEOS 5D mark IIIに常につけっぱなしの常用レンズとなっています。レビューにもあるように、ピンの来たところは開放から素晴らしい解像度を誇り、ボケもうるさくなくむしろとろけるように美しいと感じています。本サイトでは広角単焦点のカテゴリに分類していますが、35mmという焦点距離は広角とも標準とも取れる中途半端な画角ですが、撮影者の工夫次第で広角レンズ的にも標準レンズ的にも撮れるという大変撮りがいのあるレンズです。
絞り開放でも解像度は非常に高く、色収差は軸上色収差も倍率色収差も驚くほどよく抑えられています。また歪みは小さく、周辺減光も広角大口径レンズとしてはほとんど気にならないレベルです。ボケ味は、確かに背景が複雑な時には少しうるさくなることがありますが、基本的にはとろけるような、とても好ましいボケ方です。
取り回しも非常に良いです。AFは速く、静かでかつ正確で、ほとんど外すことがありません。フォーカスリングは滑らかでかつ精度の高いフォーカスが可能です。鏡筒の側面にあるグリップに付いている細かい溝や、新しくデザインされた中央を摘んで付け外しできるキャップなど、細かい部分までよく考えられてデザインされています。
質感も非常に高く、粗を探すのは難しいです。1点だけ強いて挙げるとするなら、防塵防滴でないという点があります。また、Canon純正には手ぶれ補正付きのEF35mm F2 IS USMがあるので手ぶれ補正がないことを難点として挙げる方もいるかもしれませんが、開放F値F1.4ということを考えると仕方ないでしょう。